カラスのヒナへ強制給餌

 強制給餌とは読んで字の如く、「強制的にエサを与える」と言うことです。



わが家の家族となったカラスのヒナ2羽ですが、名前を付けてしまいました。


怪我はしているけど気力がある子 → ボルト

外傷はないけど体力も気力も無い子 → ナット


妻が名前をつけたくてウズウズしており、様々な名前候補の中から選ばれたボルト・ナット🔩です。(いつか名前の由来もお話すると思います。)


家族はみんなでボルト・ナットの名前を呼ぶようになりました。そしてみんなが同一の経験をします。


『ボルト〜、ナット〜、がんばれ〜!。早く元気になるんだよボルト〜、ナルト〜🍥、………ん?』


妻も普通に間違えます。

妻『ナルト🍥はご飯食べた?』

私『(…いや、どっちのことだろう…? 二択を外したら目ビームでヤラれるのかな…。)う、うん、食べたよ…?…!』



さて、名前がついたからには更に気合が入ります。【今にも死にそう】ではなく、【なんとしても生かし】ます。

そのためには、ご飯を指で喉奥に突っ込むやり方では間に合いそうにありません。というのも、ナットはご飯を食べるだけで体力を消耗してしまうようで、一回の給餌で2,3口が限界だからです。

ゆっくり体力を回復させていく方法もあるのかもしれませんが、ここでの判断ミスは文字どおり「命取り」となります。


そこで、無理矢理のさらに上、強制的にご飯を食べさせる「強制給餌」を試みることにしました。

指で喉の奥にご飯を突っ込む方法は自然界で言えば、親鳥が普通にヒナにご飯を上げている状態と大して変わりません。

ここで言う強制給餌は、スポイトなどで喉のさらに奥にご飯を送り込むことになります。



早速、ホームセンターのペット(鳥)コーナーへ行き、給餌用のスポイトを探します。

『お、あった、あった!・・・って、ちっちゃくね!?』

鳥コーナーに置いてあるペット用品は、カラスほどの大きな鳥では、スポイトごと一口で食べてしまうのではないか程度の大きさのものしかありません。


そこで何らかのパーツを組み合わせ、カラス用のスポイトを作ることにします。


私が目をつけたのは理科の実験に使うようなスポイト(?)です。





これにチューブを組み合わせます。





出来上がったのがこんなものです。

カラスサイズの鳥だとこのぐらいの大きさは必要になります。





そしてできるだけ高カロリーで高栄養の、犬や猫のペースト状の介護用等の餌を用います。

これがどうしても手に入らない場合は、ドッグフードのツブツブが完全なくなるまで砕いたものにお湯(50〜60度ぐらい)を加え、ペースト状に練ります。

目安としてはスポイトで吸い取れるぐらいの柔らかさです。かなり水分が多くなると思います。(感覚的にはぐちゃぐちゃにした絹豆腐ぐらい。)

なお、水分過多だと、ヒナが下痢をするという情報が他サイトで紹介されていると思いますが、下痢をしようがそんなの気にしません。下痢になろうが食べなきゃ死にます。






これをスポイトの中に入れます。

スポイト内に吸い込むときはチューブを外してから取り込んだほうがやりやすいです。


このサイズのスポイトだと、ヒナの大きさにもよりますが、一度に3/4ぐらいが妥当かと思います。





給餌の際には極力空気が入らないようにします。(チューブを上にして指で何回かトントンして、ペーストが下方に来るようにして、スポイトを握れば空気が抜けます。)

給餌の直前にはスポイトを軽く押してチューブ内もペーストで満たしておきます。なお、ペーストは冷たくなってて問題ありません。


(重要:ウ◯コがカンチョ◯に逆流しているわけではありません。)



これが一番わからなかったところですが、喉奥に流し込む1回分の量です。ヒナの大きさによりますが、スポイト内を5,6回程度に分けて全量あげるぐらいです。スポイト内の最後は「プシュッ」と空気とともにペーストが飛び出しますので、ヒナの喉奥に空気を入れないように注意します。(少しぐらい大丈夫です。)


このぐらいが目安でしょうか。





強制給餌は想像以上に喉の奥までチューブを挿入します。クチバシを力ずくで開いてチューブを突っ込むのですから、ヒナは当然嫌がります。でも大丈夫です。かわいそうだと思って喉の奥までチューブを挿入しないほうが危険です。口の中には気管に通じる「穴」がありますので、間違ってそこにペーストを注入してしまったら窒息してしまいます。


(この写真は当時のものではなく、大きくなったボルトに口を開けてもらったものです。)


これを1時間半ごとに繰り返します。(餌の量はその子に合わせて適宜調整は必要かと思います。)

カラスは夜行性ではないので、朝から夕方ぐらいまでこれを続けます。夜は部屋を暗くして、しっかりと寝かせてあげます。体力が落ちているヒナは食事以外の時間はほとんど寝てると思います。昼間は部屋を暗くする必要はありませんが、なるべくたくさん寝られる環境を作ってあげてください。

強制給餌をする期間は2,3日かと思います。カラスは強い鳥です。ご飯さえ食べられれば、急速に体力が回復し、自分からご飯をねだるようになるはずです。


私の知る限り、カラスのヒナへの強制給餌方法が載っているサイトはありませんでした。また、カラスに関する論文や研究データを漁っても、それはありませんでした。なので、ここに掲載した情報はあくまでも私が成功した一例を載せているだけであって、情報の正確性はありません。

私もカラスは今回が初めてです。過去にツバメに強制給餌をしたときのことを思い出しながら、それをカラスに応用した感じです。なので、本記事の情報は参考程度として、保護したヒナに合ったやり方を模索してあげてください。


大事なことは二つだと思います。『助けたい』という想いと『助けるための知識』です。どんなに助けたくても、その知識がなければ救うことはできません。

本記事がどなたかの『助けたい』という想いの+αになれば幸いです。

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